耳を塞ぎたくなるような、虐待のニュースが連日のように流れています。
この本では、虐待とは、命を脅かすような虐待だけではなく、「しつけの一環」として、生活の中に溶け込み、習慣化しているようなものも数多く存在し、それらは一見、残虐性が感じられず、暴言など、ひっそりと目立たない類の虐待の事を書いています。
それらは、「マルトリートメント(不適切な養育)」として、詳しく説明されています。
「虐待」という言葉では、偏ったイメージが先行し、「自分や家族の問題に当てはまらない」「虐待というほどではない」と考え、行為そのものが見過ごされてしまう可能性も指摘されています。
虐待には、以下、大きく4つに分かれるそうです。
①身体的虐待
②性的虐待
③ネグレスト(育児放棄)
④心理的虐待
言葉の暴力などは、④に当てはまります。
大人の側に加害の意図があるか否かにかかわらず、また、子供に目立った傷や精神疾患が見られなくても、行為そのものが不適切であれば、「マルトリートメント」となります。
そして、これらの行為は、それらの不適切な養育による過度なストレスにより、①の身体的虐待ではなくとも、子供達の柔らかいスポンジのような脳が"物理的"に傷つき変形することが、指摘されています。
体罰を頻繁に受けた脳を詳しく調べた結果、前頭前野が萎縮したり、身体から脳の視床を経て、大脳皮質の感覚野に「痛みを伝える神経回路」が細くなるという研究結果なども詳しくありました。
(以上、著書より引用)
他の人の研究結果を集めただけの本ではなく、
著者である友田明美先生が実際に研究したり、親子と向き合った結果を詳しく書いてあり、著者本人の子育てにおいても言及されていて、具体的で、わかりやすい本でした。