地域で見守る ilo-イロー kitatomirai アフタースクール

奈良市北登美ヶ丘で、地域に密着した学童保育を2018年4月からオープンしました。地域で様々な年齢の人たちが共に学び、発見し、お互いに見守る場所を創造していきます。

フィンランドの教育について

 学童保育の開設に向けて、様々な本を読んでいます。

専門書も紹介していきますが、ずっと興味を持っていたフィンランドの教育についての本も読み、「考える力」って本当はどういうことなのかがフィンランドの教育改革について書かれた文章を読んでよくわかりました。

オッリペッカ・ヘイノネン―「学力世界一」がもたらすもの (NHK未来への提言)

オッリペッカ・ヘイノネン―「学力世界一」がもたらすもの (NHK未来への提言)

 

 

経済協力開発機構OECD)が世界の15歳児を対象に2000年から3年ごとに行っている学習到達度調査(PISA)で、フィンランドは2000年と2003年、2階続けて「学力世界一」と評価されました。

このPISAですが、学校教育で学習した知識や技能を競うものではなく、思考力や問題解決力など、『リテラシー』と呼ばれる「情報を読み解き、自ら考える力」が試されるものであり、思考力、実践力、応用力、創造性が重視され、OECDはそのような能力こそが、社会的に有意義な指標になると考えました。

その「学力世界一」の礎を築いたのが、1994年、当時29歳の若さで教育大臣に就任したオッリペッカ・ヘイノネン氏なのです。

この方のインタビューを詳しく掲載されているのが本書です。

 

このオッリペッカ・ヘイノネン氏が未来を切り開くためのキーワードとして話されていたのが、ラテン語の格言「学校のためではなく、人生のために」で、人は学校のために学ぶのではなく人生のために学ぶという意味です。

 

引用

“どうすれば、新しいことを学ぶモチベーションを持ち続けることができるのか。子どもはみな、学ぶことに興味を示します。その関心をどうやって一生の間、持続させるか。これはとても重要な出発点です。つまり、新しいことを学習するのは人生のある時期だけ、というのではないのです。生涯を通じて学ぶのです。”

 

ここで以前に読んだ本を思い出しました。 

ライフシフト 100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン著)には、人生100年ライフに突入する時代。一つの仕事で人生を終えるのではなく、何度もキャリアを変えて、そのために時間を取り、学び直しとスキルの再習得に投資する必要性が記されています。やはり、フィンランドでも生涯を通じて学び、キャリアを生涯にわたりどのように積んでいくのか、教育の面から改革をされていることが書いていました。

 

以下引用を続けます。 

“21世紀を生きていく子どもたちに必要な新しい教育とは。

「未来が予測できない」そんな時代が来ていると実感していて、これまでの教育のように、特定の仕事や職業に就くためにひとりひとりを教育するという時代ではなく、“未来がわからない世界”人々が一生に何度も仕事を変える必要が出てくるような時代です。

とりわけ、今日の世界では何もかもが目まぐるしく変わり、周囲に膨大な情報が溢れています。変化に適応し生き抜くためには自分で自分を導いていかなければなりません。

自分自身を知らなければならないし、自分の内面から新しいことを学ぼうというモチベーションが生まれなければなりません。

変化の少ない安定した社会では、物事のありようを自ずと学ぶことが出来ます。しかし、変化のスピードが激しい社会では、「なぜそのような状態なのか、ほかの可能性もありうるのではないか」ということを絶えず考え続けなければなりません。””

 

引用

“現代は変化の速度があまりに速く、ついていくために誰もが走らなければなりません。多くの人が、なぜ自分は走っているのか、自分には走り続ける強さがあるのか疑問に感じ始めています。私たちは「洞察力」という非常に大切な感覚を失いつつあります。

人は知識だけではなく、自らの内側に「洞察力」を持ち合わせなければなりません。

走り続けたら、「洞察力」は失われるでしょう。実際にスローダウンすることは、競争力を高めるいちばん良い方法なのです。“”

 

引用“”

今日、私たちが「情報を読み解く力=リテラシー」というとき、それは50年前とは比べ物にならないほど広い範囲にわたっています。コンピューターの情報も理解しなければなりません。その全てが読解力なのです。””

 

””フィンランドではいたるところに図書館があり、読み聞かせも盛んであり、また、新聞文化が教育と密接に結びついています。新聞各紙は自らの役割を市民の教育だと捉えており、だからこそフィンランドの人は新聞をよく読むのです。“”

 

“”「ひとりの子どもを育てるにはひとつの村が必要」という格言があります。フィンランドでは社会全体で教育制度を支えているのです。

どうやって人々が互いを思いやる社会を築くべきか。人はそれぞれ違うということを理解して、自分と異なる人を受け入れ、コミュニケーションをとることが出来る、そのことは自分の強みになると気づくべきです。他者を理解するには自分を知らなければなりません。

自分で人生を切り開いているというある種の自尊心がなければならないのです。これは、今日よく見られるナルシスト的な態度を言っているのではありません。

自分に価値があるということを知らなければなりません。そのことを通じて、他の人もまた、それぞれに価値があることを理解し、他者と協力することが出来るのです。これもまた教育の役目です。どうやって自分を知り、他者の価値を知り、他人を傷つけたり他人を脅威と見なすような自己中心的な人間にならないようにするか。これこそが福祉国家のベースになるのです。“”

 

 

 自分で考える力とは、どういうことなのか。

まわりに流されることなく、立ち止まって自分に必要な知識や行動はなんなのか。

どのように道を進んでいくべきなのか。考える力をもった子どもを育てたいと思いました。それは、決して難しいことなのではなく、一日30分集中する時間を持つ、じっくりと本を読む、振り返りの時間を持つ、そのような毎日の積み重ねが人生において大切だと思います。

 

アフタースクール キタトミライilo では、

この『自分で考え集中する時間』、『振り返りの時間』を非常に大切にしています。

携帯やSNSに大半の人生の時間を費やしてしまう可能性が多い昨今ですが、子どもの膨大な放課後の時間を人生を左右する自分の選択で道を切り開く力を一緒に私たちも過ごしていきたいと考えます。

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